👁 お子様の目の健康について
子どもの斜視・弱視とは?早期発見の重要性を解説
神戸市東灘区 きしもと眼科 院長 岸本隼人
こんにちは、神戸市東灘区のきしもと眼科・院長の岸本隼人です。
「うちの子の目つきが気になる」「片方の目だけ違う方向を見ている」「3歳児健診で指摘された」――そのようなご相談を多くいただきます。斜視・弱視は早期発見・早期治療が何よりも重要な病気です。子どもの視力発達には限られた期間(感受性期)があり、その時期を過ぎてしまうと治療をしても視力が十分に育たないことがあります。今回は斜視・弱視について詳しく解説します。
生後6か月〜
スポットビジョン
スクリーナーで検査可能
目次
⏳ 視力発達の「感受性期」とは
生まれたばかりの赤ちゃんは、明るさがわかる程度の視力しかありません。その後、日常的にものを見ることで視覚を司る脳の機能が発達し、視力は徐々に向上していきます。生後1〜2か月で物の形や色をある程度判別し、4か月で動くものを追視できるようになり、おおむね4歳で視力0.8〜1.0、8〜10歳頃で大人と同程度の視力に成長します。この目の機能が発達する期間を「感受性期」といいます。
⚠️ 感受性期にものをくっきり見ることができない状態が続くと、視力の発達が妨げられ「弱視」になってしまいます。感受性期を過ぎてから治療を始めても、良好な視力を得ることは難しくなります。早期発見・早期治療が何より重要です。
👀 斜視とは?
斜視とは、両目の視線の向きがそろわず、片方の目が違う方向を向いている状態です。ものが二重に見えたり、片方の目を使わなくなることで弱視を引き起こす原因にもなります。
内斜視
片方または両方の目が内側に寄るタイプ。遠視が原因で、近くを見るときの調節が強く働きすぎて起こる「調節性内斜視」が代表的です。
外斜視
片方または両方の目が外側にずれるタイプ。片眼の視力不良により、視力の悪い眼に発症することが多いとされています。
また、常に斜視の状態が見られる「恒常性斜視」と、疲れたときなど時々斜視になる「間歇性斜視」に分けられます。原因には、遠視・視力不良のほか、頭部外傷や神経の病気が関係することもあります。
🔍 弱視とは?
弱視とは、視力発達の感受性期にものをくっきり見ることができない状態が続いた結果、眼鏡をかけても良好な視力(矯正視力)が得られない状態のことです。目自体に大きな病気がなくても、視覚刺激が正常に脳へ伝わらないことで視力が育たなくなります。
「弱視なのに小さなものが見つけられる」のはなぜ?
保護者様から「弱視と言われたが、地面の小さなものも見つけるし遠くの人の顔もわかる」という疑問をよくいただきます。弱視は必ずしも「何も見えない」状態ではなく、視力検査で測定する精密な見え方(矯正視力)が十分に発達していない状態を指します。日常生活で大きな支障がなくても、視力検査で初めて発見されることが多いのが弱視の特徴です。
📋 弱視の原因による分類
屈折異常弱視
両目とも強い遠視・近視・乱視があり、距離にかかわらずピントが合わせられないことで両眼の視機能が発達しにくくなる弱視です。多くの場合、遠視が原因です。
不同視弱視
左右の目で屈折異常(遠視・近視・乱視)の度合いが大きく異なることで起こる弱視です。度数が強い方の目だけ視力が発達せず、見え方のよい方の目に依存してしまいます。
斜視弱視
斜視によって片方の目が使われなくなり、その目の視力が発達しないまま弱視になるケースです。
形態覚遮断弱視
先天性の白内障・眼瞼下垂(まぶたが下がる)・長期間の眼帯使用などにより、片方または両方の目に光がうまく入らない状態が続いたために起こる弱視です。
👨👩👧 こんな様子に気づいたら早めにご相談ください
- 片方の目が違う方向を見ていることがある
- まぶしいときに片目だけ細める・閉じる
- 物を見るときに首をかしげる・近づいて見る
- テレビや絵本を極端に近くで見る
- 3歳児健診・就学前検診で視力や目の異常を指摘された
- ご家族に斜視・弱視・強い遠視の方がいる
💡 弱視のお子様は自分から「見えにくい」と訴えることがほとんどありません。視力検査で初めて発見されることが多いため、3歳児健診や就学前健診をしっかり受けることが早期発見につながります。
🔬 当院の小児視力検査体制
弱視・斜視は早期発見が何より重要ですが、小さなお子様は通常の視力検査に協力すること自体が難しい場合があります。当院では、そうしたお子様でも正確な検査を受けていただける体制を整えています。
スポットビジョンスクリーナーを導入
当院で導入しているスポットビジョンスクリーナー
当院では
「スポットビジョンスクリーナー」という検査機器を導入しています。生後6か月の赤ちゃんから検査が可能で、お母様に抱っこされたままの状態でも、機器を数秒見つめるだけで近視・遠視・乱視・斜視・不同視(視力の左右差)・瞳孔不同などを瞬時にスクリーニングできます。検査前の目薬や、大きな機械にあごを乗せるような従来の検査と異なり、
痛みも負担もほとんどありません。「うちの子はまだ検査ができないだろう」と思われている小さなお子様でも、まずは一度ご相談ください。
視能訓練士が常勤3名体制
当院には視能訓練士(国家資格を持つ視機能検査の専門スタッフ)が常勤で3名在籍しています。お子様の年齢や発達段階に合わせて、絵を使った視力検査・指さし検査など様々な工夫をしながら、できるだけ正確な検査結果が得られるよう努めています。スポットビジョンスクリーナーでのスクリーニングと視能訓練士による詳細な検査を組み合わせることで、小さなお子様でも精度の高い検査を行うことができます。
💡 スポットビジョンスクリーナーはあくまで「スクリーニング」検査であり、確定診断ではありません。検査結果に異常が見られた場合は、視能訓練士による詳しい検査・医師の診察を経て、必要に応じて治療方針をご案内します。
💊 治療法について
① 治療用眼鏡
屈折異常(遠視・近視・乱視)がある場合、まず適切な度数の眼鏡をかけることで、目にピントの合った映像を届け、視力の発達を促します。弱視治療の基本となる治療法です。
② アイパッチ(遮閉法)
視力に左右差がある場合、よく見える方の目(健眼)にアイパッチを貼って隠し、弱視の目を強制的に使わせることで視力の発達を促す治療です。1日に貼る時間や期間はお子様の年齢・視力によって個別に決定します。低年齢のうちから治療を始めるほど、短い期間で効果が得られやすいとされています。
③ 斜視手術
斜視の程度が強い場合や、眼鏡での矯正だけでは改善が難しい場合に検討されます。眼球を動かす筋肉の位置を調整する手術で、専門的な設備が必要な場合は専門医療機関へご紹介いたします。
アイパッチを嫌がるお子様への工夫
最初から長時間貼り続けられるお子様はほとんどいません。見えにくい方の目だけを使うのですから、嫌がるのは自然なことです。シールタイプのアイパッチに絵を描いたり、好きなキャラクターのシールを貼るなど、楽しく取り組める工夫を一緒に考えていきましょう。
❓ よくあるご質問
Q. 何歳までに治療すれば間に合いますか?
A. 視力発達の感受性期は8〜10歳頃まで続くといわれており、一般的に6歳頃までの治療が重要とされています。ただし8〜9歳のお子様でも治療が有効だったケースが報告されているため、小学校低学年以下であれば諦めずに積極的な治療をおすすめします。年齢が低いほど治療効果が出やすいため、早めの受診が大切です。
Q. 何歳から検査を受けられますか?
A. 言葉で答えられない年齢のお子様でも、絵を使った視力検査や、目の位置・反応を確認する専用の検査機器を用いて評価が可能です。3歳児健診で指摘された場合や、ご家族に斜視・弱視の方がいる場合は、できるだけ早めにご相談ください。
Q. 治療用眼鏡は保険適用になりますか?
A. 9歳未満の弱視・斜視治療を目的とした治療用眼鏡は、医師の作成指示書があれば健康保険の療養費として一定額が支給される制度があります(コンタクトレンズも対象)。詳しくは受診時にご案内します。
Q. 治療をやめたらまた視力が下がりますか?
A. 目標の視力に達してもすぐに治療を完全にやめると、視力が再び低下することがあります。徐々にアイパッチの時間を減らすなど、慎重に経過を見ながら治療を終了していく必要があります。自己判断で治療を中断せず、医師の指示に従って進めましょう。
✉️ 院長からひとこと
きしもと眼科 院長 岸本隼人
斜視・弱視は、お子様自身が見えにくさを訴えることがほとんどないため、保護者様の気づきと定期的な健診が発見の大きな手がかりになります。視力発達の時期には限りがあるため、「様子をみよう」と先延ばしにせず、気になることがあれば早めにご相談いただくことが何より大切です。当院ではスポットビジョンスクリーナーや常勤の視能訓練士3名による検査体制を整えており、小さなお子様でも安心して受けていただける検査・治療を心がけています。神戸市東灘区・魚崎エリアでお子様の目について気になることがある方は、お気軽にご相談ください。
本記事は患者様への情報提供を目的としたものです。治療の適応については個人差があります。診察・検査のうえ医師の判断のもとで治療方針を決定いたします。