糖尿病網膜症について

👁 糖尿病と目の健康について

糖尿病と目の関係とは?糖尿病網膜症の症状・治療を解説

神戸市東灘区 きしもと眼科 院長 岸本隼人

こんにちは、神戸市東灘区のきしもと眼科・院長の岸本隼人です。

「糖尿病と言われたけど、目への影響は?」「どのくらいで目が悪くなるの?」そのようなご相談を多くいただきます。糖尿病は全身の血管に影響を与える病気であり、目も例外ではありません。糖尿病網膜症は日本人の失明原因の第2位を占める深刻な合併症ですが、定期的な眼底検査と適切な治療で失明を予防できます。今回は糖尿病と目の関係について詳しく解説します。

第2位
日本人の
失明原因
自覚症状なし
初期〜中期は
ほぼ無症状
1〜6か月
に1回の定期
眼底検査を推奨
糖尿病網膜症について
目次

🔍 糖尿病が目に与える影響

糖尿病の状態が続くと、全身の毛細血管(細い血管)が傷んでいきます。目の奥にある網膜には非常に細かい血管が密集しているため、糖尿病の影響を受けやすく、長期間血糖コントロールが不十分な状態が続くと網膜の血管が障害されます。これが糖尿病網膜症です。

糖尿病が発症してから網膜症が現れるまでには通常5〜10年かかるといわれています。しかし発症してからも長い間自覚症状がないため、気づかないうちに進行していることが多い病気です。

⚠️ 糖尿病と診断されたら、目の症状がなくても必ず眼科で定期的な眼底検査を受けてください。症状が出てから受診した場合、すでに進行した状態であることも少なくありません。

📋 糖尿病網膜症の進行段階

糖尿病網膜症は3つの段階に分類されます。

① 単純糖尿病網膜症(初期)
網膜の毛細血管が傷み始め、血管のこぶ(毛細血管瘤)・点状出血・白斑(血液成分の沈着)などが現れます。この段階ではほとんど自覚症状がありません。血糖コントロールを良好に保つことで改善が期待できる場合もあります。約3か月に1回の経過観察が必要です。
② 増殖前糖尿病網膜症(中期)⚠️ 重要な時期
血管の詰まりが広い範囲に及び、網膜への血流が不足してきます。この段階が治療のタイミングとして非常に重要で、ここでレーザー治療(網膜光凝固術)を行うことで増殖網膜症への進行を抑えることができます。自覚症状はまだほとんどありません。
③ 増殖糖尿病網膜症(末期)🚨 失明の危険
血流不足を補うために異常な新生血管が増殖し始めます。この新生血管は非常に脆く出血しやすいため、硝子体出血(目の中が血で満たされる)・牽引性網膜剥離・血管新生緑内障などの重篤な合併症を引き起こし、急激な視力低下や失明につながることがあります。
💡 糖尿病黄斑浮腫(網膜の中心部「黄斑」に水分が溜まって視力が低下する状態)は、すべての段階で起こる可能性があります。視力低下が初めての自覚症状になることが多いため、早期発見が重要です。

⚠️ こんな症状はありませんか?

以下の症状が現れた場合、すでに網膜症がかなり進行している可能性があります。症状が出る前の定期検査が重要です。

  • 視界がかすむ・ぼやける
  • 目の前に黒い点や糸くずが浮かんで見える(飛蚊症の急な悪化)
  • 視界の中心が暗く見える・歪んで見える
  • 急に視力が大きく低下した
  • 視野が急に欠けた
⚠️ これらの症状が現れた場合は、できるだけ早く眼科を受診してください。特に急な視力低下・視野の欠けは緊急性が高い場合があります。

💊 治療法について

① 血糖・血圧・脂質のコントロール(全段階共通)
すべての段階を通じて最も重要な治療です。内科での血糖コントロールが網膜症の進行を大きく左右します。眼科の治療だけ行っても、血糖コントロールが不十分では網膜症の進行を止めることはできません。
② 網膜光凝固術(レーザー治療)
レーザーで網膜を凝固し、新生血管の発生を抑制する治療です。増殖前網膜症〜増殖網膜症の段階で行われます。外来で実施できますが、複数回に分けて行うことが多いです。
③ 抗VEGF硝子体内注射(当院で実施・保険適用)
糖尿病黄斑浮腫に対して、VEGFという物質の働きを抑える薬を眼内に注射する治療です。当院でも保険診療で実施しており、黄斑の腫れを改善させて視力の回復・維持が期待できます。効果は数か月で薄れるため、繰り返し治療が必要になることがあります。
④ 硝子体手術
硝子体出血・牽引性網膜剥離など重篤な状態に対して行われる手術です。専門的な設備が必要なため、当院での診断後は速やかに専門医療機関へご紹介いたします。

🔬 定期的な眼底検査の重要性

糖尿病と診断されたら、目の症状がなくても定期的な眼底検査が必須です。眼底検査では散瞳薬(瞳孔を開く点眼薬)を使用して、網膜の状態を詳しく観察します。

状態推奨する検査頻度
糖尿病と診断された直後まず眼底検査を受ける
網膜症なし・血糖コントロール良好3〜6か月に1回
単純網膜症(初期)1〜3か月に1回
増殖前・増殖網膜症1〜2か月に1回
💡 散瞳検査を受ける際は、点眼後数時間は見え方が不安定になります。お車・バイク・自転車での来院はご遠慮ください。公共交通機関でのご来院をお願いします。

❓ よくあるご質問

Q. 血糖値が安定していれば眼底検査は不要ですか?
きしもと眼科キャラクター
A. いいえ、血糖値が安定していても定期的な眼底検査は必要です。網膜症は一度発症すると血糖コントロールが改善されても完全には元に戻らないことがあります。また、長年の蓄積による変化が突然進行することもあるため、症状がなくても定期検査を続けることが大切です。
Q. 糖尿病と診断されてすぐ眼科を受診する必要がありますか?
きしもと眼科キャラクター
A. はい、できるだけ早めに眼底検査を受けることをおすすめします。糖尿病と診断された時点で、すでに軽度の網膜症が始まっていることもあります。現在の眼底の状態を把握しておくことで、今後の経過観察の基準点になります。
Q. 治療で視力は回復しますか?
きしもと眼科キャラクター
A. 抗VEGF注射による糖尿病黄斑浮腫の治療では、視力の回復・維持が期待できます。ただし進行した状態では、網膜症の進行を「食い止めること」が治療の主な目的となります。早期に発見・治療するほど良好な視力を維持できる可能性が高いです。
Q. 内科と眼科、両方に通う必要がありますか?
きしもと眼科キャラクター
A. はい、両方への定期通院が必要です。内科では血糖・血圧・コレステロールのコントロール、眼科では眼底の変化の監視と眼科的治療を行います。両科が連携して管理することが、糖尿病網膜症による失明を防ぐ最も効果的な方法です。

✉️ 院長からひとこと

きしもと眼科 院長 岸本隼人

糖尿病網膜症は「気づいてから受診する」では手遅れになることがある病気です。当院にも多くの糖尿病の患者様が定期的に眼底検査に来られています。内科の先生から「眼科にも定期的に行くように」と言われている方は、ぜひ早めにご相談ください。症状がなくても、定期的な眼底検査が将来の視力・視野を守る最も確実な方法です。神戸市東灘区・魚崎エリアで糖尿病の管理をされている方は、当院でも眼底検査を含めた定期的なフォローアップを行っていますのでお気軽にご相談ください。

本記事は患者様への情報提供を目的としたものです。治療の適応については個人差があります。診察・検査のうえ医師の判断のもとで治療方針を決定いたします。

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